あれよあれよという間にヨシモの沼に落ち、ここ数日ずっとヨシモについて考えさせられている私です。
これはヨシモのキャラ解釈と、日本語における口調の新解釈提案(?)をしてみる記事です。
誤解がないよう一応先に言っておくと、「ヨシモはこうじゃなきゃいけないだろォ?オオン?」というご意見のつもりではなく、「私のところのヨシモはこういう解釈で、こういう口調で取り扱おうかなと思ってるんだ~」&「私は真似されるの嫌じゃないから、気に入った人がいればこの口調自由に採用してね(そしてあわよくばヨシモファンアートの輪が広がったらいいな!)」という戯言です。
本当に、本当に、自治とか啓蒙とかそういう偉そうなもんじゃありませんので、「え?なんかお前の解釈気に食わねンだけど」と思って火球を投げたりしませんように。
「どれだけ前置きしたとしてもやっぱ気に食わねンだけど」とお思いの方は、ムーブサイレントリーでお立ち去り下さい。その際、バックスタブは入れないで下さい。
更新履歴
- 2026.02.05 公開
- 2026.02.09 全体の修正、追記
- 2026.03.01 英語版と有志日本語版の印象の違いについての追記
- 2026.03.07 台詞の印象の項を加筆修正
BG2EEの日本語対応について
まず大前提のお話として、BG1EE、BG2EEは有志の方のご尽力によって日本語化されています。こんな膨大なクエスト&途轍もない自由度のゲームの翻訳、絶対大変だったと思います。ありがたいお話です。何万語あるんだろう…?と想像するだけで気が遠くなるような作業だったと思います。
私も有志日本語翻訳さまのお陰でこのゲームを楽しむことが出来ました!本当にありがとうございます。
私がお世話になった翻訳は「dq6 パッチ修正版+.zip」だったと思います。恐らく現環境最新版ですね。
攻略サイト自体も翻訳も、拝見した感じ善意のリレーで未だに更新されているようです。
「遊びたいゲームが自国言語対応していない」ってかなりの絶望ですし確実に敷居になるので、もしこの有志の翻訳がなかったら…と思うとゾッとします。
BG3からBGシリーズに入った身としては、この令和の時代に10年以上も前のゲームの翻訳が未だに提供されていて、大変助かりました。
関わって下さった皆様に感謝しています。重ねて御礼申し上げます。
この記事の性質上、有志翻訳版ヨシモの口調について触れることがあります。翻訳の事情や意図の全てを知らない外野であるため、公平な視点で評価しているとは思いません。原文と有志日本語版を比べる中で、厳しい評価をしている箇所もあります。しかしながら私はこの有志日本語翻訳版ヨシモの「あからさまに胡散臭い異邦人っぽさ」もとても好きです。
ってことを念頭に入れてこの記事は読んで欲しいです。置きましたね?じゃあ本題に入りましょう。
原語版ヨシモについて
キャラクターの抱えるステレオタイプについて
これについて触れねば不誠実だと感じますので、様々な見方の一つとして読んで頂きたいです。
まず海外では「東洋人」=「裏切り者」というステレオタイプが存在します。
オリエンタリズム、黄禍論として実際に史実に存在します。
ヨシモというキャラクターは文化・歴史的背景かれ生まれたそれら偏見が少なからず影響を与えているキャラクターだと言えるでしょう。
(ただし彼の裏切り行為は本人の邪悪さとしては描かれていませんので留意が必要です)
ただ、その事実が必ずしも「東洋人への侮蔑や差別」かというと繊細なところでもあり、悪意なくゲームの1キャラクターとして組み込まれている可能性がある…というのは念頭に入れておきたいです。
「許容するか、許容できるか」「倫理的良し悪し」とは別に、作者の意図が分からない以上声高に「差別だ」と断定はできないということです。
私の立場としては、「差別は許容すべきではない」けれど、それと同時に「創作の中で皮肉られる」という試みを「逆に楽しむという皮肉的な許容」としてヨシモというキャラクターを面白がり楽しんでいます。
ヨシモの台詞の印象
原語(英語)版ヨシモの話し方や台詞の特徴をまとめてみました。
- 自分のことをYoshimoと言うことがある
「I」で普通に話す場面の方が多いですが、たまに自分のことをわざわざ「Yoshimo」と表現する場面があります。これは他のキャラクターではあまり見られない特徴です。
見え方としては日本語でも同様ですが、大人はあまり自分の名を呼ばないので少し滑稽で愛嬌を感じる言い方ですね。かわいいです。
個人的な解釈としては《ヨシモ》という表面上演出されたキャラクターとして自分を印象付けるため、彼は意図的に選んで言っていると思っています。
彼の計算高さが見えるようです。
例:”Yoshimo is willing.”、”You had best alter your thinking, my friend, or you can forget about the company of Yoshimo!”、”If you are not in league with the evil that dwells in this unholy place, Yoshimo begs your assistance”など - 出身地(恐らくコザクラ?ワの可能性もある?)の言葉を使う
異邦人っぽい言葉をたまに使います。興味深い所は、彼はそれを自覚して言っていそうなところですね。
※ここで注意が必要なのは、彼は普段は非常に流暢で気取った、豊富な語彙で話します。なので「カタコトっぽい」「助詞を抜いて話す」のは有志日本語版の特徴的な演出ではありますが、原語版では決して選ぶ言葉がたどたどしいわけではありません。
ただし、音声として聞いた場合に無視できない特徴的な「アジア訛り」は存在しています。
例:”Sou desu ne?”, “Yokatta.”, “Hai-ya!”(?), “Kaiii!”(?) など - 賞金稼ぎのプライドを感じさせる丁寧・慇懃な言葉遣いや単語選び
彼の話し方は日常的に使うカジュアルな話し方というより、少し畏まった丁寧な物言い(ともすると少し演技的な)である印象です。
日本人=丁寧で物腰が低い、みたいなステレオタイプからなのでしょうかね。
例えば「あなたの気持ちは分かります」と同意する時に「I feel the same」などではなく「I share your sentiments」と言ったり、自分の仕事を指すときに「job」ではなく「profession」という単語を選んだりしています。
※一般的に”job”は「賃金をもらって行う職業」、”profession”は「高度な専門知識を要する職業」と使い分けされています。
あえてこの言葉選びをしていることからも、彼は賞金稼ぎという自分の職業にプロフェッショナルな自覚があります。
そして、それを感じさせる「相手を立て自分を卑下する」話し方をしている印象です。
人に呼びかける際も”Sire”(王や貴族などに用いる)や”mistress”(女主人、女王など権力や力のある女性に向けて使う),”lass”(お嬢様)などを使う場面が多いです。
言葉の丁寧さは挙げたらキリがないくらいですが、とにかく選ぶ単語が丁寧です。わざとらしさがあるとしても、普通の盗賊や裏社会の人間が路地裏で使うような俗っぽい話し方でないのは確かです。
例:”Yoshimo begs your assistance.”, “Shall we draw our blades with a common purpose?”, “”
※正直なところ有志日本語版のヨシモからは、この特徴はあまり感じられない…と私は思っています。翻訳による原作とのキャラの乖離として私が挙げる理由の一因です。 - 軽口、冗談、皮肉を好んでいて、言葉のチョイスに遊びがあります
丁寧な口調ながらも、他愛のない軽口、下世話な冗談、皮肉など粋な言葉遊びを楽しんでいるようです。
彼の台詞の一つ”I can dance on the head of a pin as well.”(針の上でだって踊ってみせましょう)は、彼が自身の器用さを得意げに語る台詞であると同時に、とある神学論争(「針の上で天使は何人踊れるか」)を皮肉った台詞にもなっています。
めちゃくちゃ知的な冗談です。詳しくはこちらの記事の「実はインテリ?」の項もご覧頂きたいのですが、彼は言葉の端々から「教養のある人物」であることが分かります。
例:”*yawn* Some of us need our beauty sleep, you know.” , “Ah, yes, the city. With all its people and their accumulated wealth, yes?”, “I adore tedium. It’s vastly preferable to screaming and running for our lives.”, “An odd choice. Have you been hit in the head with a rock as of late? I? In the front? Well, it is your call…”, “Heh, the tourists love that stuff”, “I can dance on the head of a pin as well.”など - やたらとこちらの顔色を伺ってくる
語尾に「…yes?」をよく使って、こちらに同意を求めてきます。
ニュアンス的には「…ねえ?」「そうでしょう?」みたいな。
この仕草はただの問いかけである以上に「あなたもそう思いますよね?」「違いますか?」「そうですよね?」みたいな、承認を仰ぐニュアンスであると同時に、ともすると彼の支配的なコミュニケーション術も見え隠れしています。常に会話の主導権を握っているのです。
他に興味深いところがあるとすれば、例えばジャヘイラなどの他のキャラクターは、プレイしている私達を揶揄するようなメタ的な台詞が多い(疲れた時に聞ける「この奴隷使いめ」みたいな台詞など)のに対し、ヨシモは主人公に対して話し掛け、顔色を伺うようなセリフが多いです。
例:”Things are going well for us, yes?”、”Ah, yes, the city. With all its people and their accumulated wealth, yes?”、”You require my counsel, yes?”など - 話す相手に合わせて言葉選びや話し方を変える
対コンパニオン相手の会話では、相手のフィールド、相手の興味関心に合わせて話し方や言葉選びを変えているように思います。
また、皮肉や追及を前にすると相手にせず煙に巻く態度を見せます。主人公相手だけでなく、人間関係全般において常に相手の出方やフィーリングに合わせている感じですね。
例:
(対アノメン)Young Anomen, a samurai of the west, roaming in service of god and lord. Tell me something of your adventures.
(対ヘアダリス)Haer’Dalis, Haer’Dalis! You think too much and smile too little. Come, my bullywug! Come, my puss ‘n boots! We are in Athkatla, the city of a million smiling faces!
(対エアリー)No apologies from so fair a blossom. We were fools to let you fall.
(対ケルドーン)”Though time went by and long I triedto satisfy my lust,no matter where I touched, ‘twas not enoughto please my succubus.”
※卑猥な歌の続きをケルドーンから引き継いで歌っています。ちなみにこの歌について聞かれた際もヨシモは「神学を学んでいた」と答えます。
その他、考慮したい彼の背景について、詳しくはこちらの記事でまとめています。
【BGEE】ヨシモという男について
原文の台詞や言葉遣いから受ける彼の印象と性格的特徴
- 胡散臭くてイマイチ正体が掴み切れない食えない奴
- 裏がありそうだけれど親しみやすさも備えている
- ただの盗賊にしてはちょっと気取った知的な言葉選びを楽しんでいる
- 相手の出方や顔色を伺う
- 自分のカードを明かさない計算高さ
まあ、怪しいです…。よく言えばミステリアス。
見えそうで見えない怪しさは常に漂っています。でも過剰に警戒させないだけの世知・機転と愛嬌があります。
冷酷無比なスパイや工作員みが強いか?と言うとそうではありません。
彼は一見プロの仕事人っぽくクールで怪しいけど、俗っぽいエピソードを語り、どこか憎めない人間らしさを持っています。
「まぁヨシモだし」と思わせられる絶妙な距離感。
こちらには不自然なほどぐっと近づいてくるけれど、こちらからヨシモの事情にも踏み込ませはしない一定の心の距離も感じます。
余談ですが、ヨシモについての記事をRedditで読み漁っている時に手を叩いて笑った書き込みがあって
「こいつは絶対に小便器で話しかけてくる」
がすごく言い得て妙だな…と思いました。私もそう思う。
原語版と有志日本語版のキャラクター像の乖離
ここまで読んだ方の中では「ん?お前の話してるヨシモ、なんか私の知っているヨシモと印象違うな…」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
私のキャラ願望が混じっていると思いましたか?まぁ確かに、それについてはヨシモにお熱の私では否定しきれないため「全くない」と言い切れないのですが…。
原語(EN)版を最近遊び始めて気付いたのですが、原語版と有志日本語版では、そもそもキャラクター像に乖離があると私は感じました。
これは恐らく、有志日本語版が「ステレオタイプ」な異邦人としての面を強調する少しコミカルな言葉選び、カタコトっぽい話し方を優先したからだと思われます。
どれくらい印象が変わるか、同じセリフを見比べてみましょう。
例として、ドッグ地区に初めて訪れた際にヨシモから聞ける話の一文を取り上げます。
原文
This is Shadow Thief territory… which I have had a couple of run-ins with over the past few months. They don’t tend to appreciate independent operators like myself.
有志日本語版
ここらヘン、シャドウ・シーフのなわばりネ… この数ヵ月で何回かいざこざあったヨ。あちらさん、俺みたいなよそ者の一匹オオカミ、嫌いネ。
話している意味としては同じなのですが、言葉選びによってかなり印象が異なるように私は感じました。
特にそう感じるのは《independent operators》。
これは「独立事業者」を指す言葉で、少しお堅い言葉選びです。口語で「一匹狼」「ただのよそ者」を名乗るときに選ぶ単語ではありません。
そのお堅めの言葉をここでわざわざ選ぶところに、ヨシモのプロの仕事の矜持(ただのならず者という認識ではない)を感じますし、同時に「犯罪」を湾曲的に表現している…という洗練された大人な言い回しを感じる表現です。
有志日本語版はこれを「よそ者の一匹オオカミ」とすることでより一般に耳にしやすい表現に直してくれているのですが、その過程で上記の繊細なニュアンスが失われているように思います。
また、《They don’t tend to appreciate independent operators like myself.》自体も、はっきりと「嫌っている」とは表現せず、「あまり好まれていない」という遠回しな言い方をしています。
有志日本語版はそれを「嫌い」と表現しています。
意味は同じと思うかもしれませんが…私はこの差は「キャラクター表現として」結構大きいと思っています。
この台詞が発生するシーンは、彼が自分の少々隠したい(少なくともドック地区に足を踏み入れるまでは申告しなかった)事情を話す場面です。
なので、話し始めも少し気まずそうに話し出します。
その過程を経た説明で「嫌われてる」と表現するか、「あまり好かれていない」と表現するかは、性格が表れると思いませんか…?
有志日本語版は開き直っている感じがします。サクッと端的に状況を伝えているような。
しかし英語版は、濁すことでヨシモの後ろめたさ・伝える情報の影響がさも最小限であるかのような計算高い伝え方も感じるのです。
…というように、この場面に限らず、有志日本語版は端的にはっきり情報を伝えてくれているのですが、その分ヨシモが能動的に選んでいる言葉のニュアンスを排しがちだと私は感じました。
彼が好む、いかにも裏社会に通じている大人らしい「皮肉」と「湾曲的表現」に満ちた言葉選びは、日本語版の方ではあまり再現されていないと言わざるを得ません。
ただし、ゲーム翻訳・プレイ体験の一分として考えると「耳馴染みのある言葉」「分かりやすいキャラクター」が求められるのも理解は出来るので、有志日本語版が必ずしも悪い翻訳だという訳ではないのです。
ただ、味付けは結構濃いかな~って感じで…カタコト異邦人の功罪!
ちなみに、ヨシモの台詞の音声を聞くと確かに「アジア訛りの発音」をしていますが、選ぶ単語自体は拙さを感じるものではありません。
むしろ「日常会話ではあまり使わない」ような格式高い・お堅い言葉を使ったりします。
全体的な口調としては、汚い仕事ばかりしてきたであろう賞金稼ぎの癖に、どこか品があり知的な話し方をするという、計算高く底が見えない「食えない奴」な話し方って印象。
…というヨシモというキャラクターの《あやしい魅力》と《繊細な人間臭さ》が有志日本語版では「カタコト異邦人」キャラによって塗りつぶされている感があるので、有志日本語版にはお世話になりつつ若干思うところがあるのです…。
(でも有志日本語版にお世話になったのも事実なので、悪し様に言いたいわけでもないというのはご留意頂きたいです。あくまで拗らせたオタクがキャラ解釈で嘆いているだけですので…)
ヨシモの口調を考えるにあたり汲みたい事項
- 彼が好む言葉遊びや湾曲的・大人な言い回し、知的な台詞群
- SoA某章の例のイベント
- 彼が一人で背負っていたであろう悲哀
- カラ・トゥアのコザクラ出身と思われるところ
- カタナを持っているところ
- 原語版声優さんの渋い掠れたいい声
声めちゃくちゃいいですよね。ちなみにヨシモの声優さんはディズニー映画常連だってご存じでしたか。めちゃくちゃ色んな作品に出演されています。
前項で挙げた性格的特徴や、これら設定を口調だけで上手く表現しようとすると、正直めちゃくちゃ難しいと思います。有志日本語翻訳版の翻訳を担当された方も、恐らく頭を悩まされたのでは…。
あの特徴的な胡散臭いカタコトは恐らくその過程で生まれた味付けだと思うんですよね…。
ヨシモの口調を考えていこう
有志日本語翻訳版について
有志日本語翻訳版では、ヨシモは特徴的な語尾「~ネ」「~ヨ」を当てられています。
これは恐らくですが彼の「オリエンタルなキャラクター」を強調しつつ、「胡散臭さ」「親しみやすさ」を重視したものではないかと予想します。
(もしかするともっと深い意味があるかもしれませんが、ここでは想像することしかできないのであしからず)
有志日本語翻訳版では、その《カタコト異邦人》っぽさが例の章でのギャップを大きくするという演出が取られています。
コミカルに見える普段の口調が、突然普通の話し方になるという衝撃。
「お前普通に話せたんだ…」って驚かせる面白い試みだと思います。翻訳の業(わざ)。
個人的にはあの有志日本語翻訳版の演出も好きですと断っておきます。
ただ、原語版の彼の性格のニュアンスがそのまま反映されているか?というと少々難しい問題で、ヨシモの性格のうち、特定の要素がかなり誇張・強調されている口調だと感じます。
翻訳により失われているニュアンスもあるので、1キャラクターとしてのキャラ付けとして親しみやすく良い味付けだけれど、原語版と乖離があるのも事実。
それもあって原語版ヨシモも齧り始めた私個人としては、別の口調の方が、私の好きなヨシモらしさを表現できそうだなと思いました。
俺流ヨシモを考えるにあたり、特に重視したいところ
- 台詞以外の場面でも機能する口調であること
たとえば彼の独白など、素や本音に触れるシリアスな場面・描写でも上手く機能しそうな口調が良いと思いました。
自分は物書きのオタクなので、本編に存在していないシーンを妄想しながら話しますが、たとえばPTから離れて1人裏路地に居る時のヨシモ。イレニカスに計画を命じられている時のヨシモ。本編で主人公たちに合流する前に街にいたヨシモ。
台詞がない地の文でもシームレスに機能する口調の方が創作的には助かります。
有志日本語翻訳版の「~ネ」「~ヨ」の口調だと、ギャップが大きすぎてそこで生まれる意識の《差》が大きくなってしまうのがネックです。
主人公たちの前で道化を演じる傍ら、内面描写でいきなり某イベントの時のように普通のおじさんみたいな口調で話し出すのはギャグのようにもなってしまうので。 - ロマンスにも耐えうる口調であること
前項とも関連していますが、「彼がもし主人公(やその他コンパニオン)と恋愛をしていたら」という前提でも成り立つ口調が良いです。
具体的なシーンを挙げるとすると、例えばみんなの前でおちゃらけていたヨシモが、急に女主人公の視線に気づいて揶揄ってくるとします。
有志日本語翻訳版準拠(出来ているかどうか怪しい)でいくと
「おや? こっちを見ていたネ? そんなに見られたら調子が狂うヨ」
「おや? こっちを見ていたな? そんなに見られたら調子が狂う」
になります。
これはまだ序の口なので問題ないですが、この口調でロマンス書いていくのちょっと辛くないですか…。いや私の物書きオタクとしての力量が足りない故かもしれません。
前者だとギャグみが強くなってしまいますし、後者だと他のキャラと台詞が並んだ時に区別がつかなくなるんですよね。ヨシモっぽくはない。
個人的にはこの問題をクリアできる口調でないと困る。 - 言葉遊びや小洒落た話し方、わざとらしさも再現できる口調であること
原語版を見る限り、彼は言葉が不自由なわけではありません。それどころか非常に流暢に言葉遊びを楽しんでいます。
「~ネ」「~ヨ」という口調だと、我々日本人はどうしても「言葉に不自由な海外の人物」だと受け取ってしまいやすいと思います。
でも原語版で繰り広げられるヨシモの軽口・食えない態度は「言葉の不自由さ」とは対極にあると思っています。
なので、ヨシモのその知的さも印象付けられる口調が望ましいです。
提案したいヨシモの口調
こういった背景踏まえて私が提案したいのは、以下です。
本当にヨシモの口調は難しくて、考えれば考えるほど「こっちも良いかも」と思えてきて悩みました。
案1:食えない敬語
「~ですな」「~ですぞ」「~ですかな?」+武士&忍者っぽい言葉選びのハイブリッド敬語
これはどういう口調かと言うと、すごく簡単に説明するなら「ムック」とか「オタク言葉」「軍師・策士キャラ」が分かりやすいと思います。
基本は敬語だけれど、ちょっと胡散臭くて、洗練されきっていない感じ。
先ほど挙げたシーンなら
「おやおや? …目が合いましたな? そんなに見られたら調子が狂ってしまいますぞ」
彼の性格のうち、少し気取った恭しさ+胡散臭さ+本心かリップサービスか分からない
というミステリアスさを強調した案です。
他の台詞もこの口調で再現してみます。
“Ah, yes, the city. With all its people and their accumulated wealth, yes?”
「ああ、これぞ街。そこに暮らす人々と、彼らがせっせと貯め込んだ富の山…ねえ、どうです?」
“If you are not in league with the evil that dwells in this unholy place, Yoshimo begs your assistance.”
「もしあなたがこの邪悪な地に潜む悪と通じていないのであれば…このヨシモ、あなたに助太刀を願いたく」
“Heh, the tourists love that stuff.”
「ふふ、観光客はこういう手合いに目がありませんな」
こんな感じで、結構展開させやすいです。
お好みで「かたじけない」「(名前)殿」とか混ぜていくと、コテコテ「コザクラ」感も出せるっちゃ出せます。
「拙者」「貴殿」「~ござる」までやると少しやりすぎな気もするけど…ヨシモなら言ってもおかしくないかも…?
「こういうのが嬉しいんでしょ?」って顔して「~でござるな」って言ってるヨシモは存在しているような気がする(幻覚)
- ふざけているようなコミカルさ・軽やかさが出る
- それでいてヨシモの知的な面も出せる
- 普通日常では使わない言葉遣いなので胡散臭く、「わざとやってる」「演技っぽい」ことが伝わる
- 皮肉を混ぜやすい
- でも適度に隙を見せない心の距離を感じる
- 東洋人(コザクラ≒日本)っぽさもちゃんと出る
- 特徴的な語尾なので、複数人分の台詞が並んだ時にもちゃんと「ヨシモが喋っている」と分かりやすい(これは小説で勝手に意識している点)
ので、私としては使いやすいんじゃないかな?と思っています。
手をこねこねし、薄い笑みを浮かべこちらの顔を覗き込みながら話してそうな、絶妙ないやらしさ。
有志日本語版をリスペクトするなら、敬語と「~ネ」「~ヨ」を組み合わせると、典型的なカタコト異邦人を避けつつ、「有志日本語版で見たヨシモ」っぽさも出せます。
「おやおや? …目が合いましたネ? そんなに見られたら調子が狂ってしまいますヨ」
どうでしょうか。「食えない男」感と「胡散臭さ」、それに有志日本語版リスペクトも出来てとてもバランスが取れている気がする。
案2:敬体+常体
なんと表現して良いか分からなかったのですが、敬語と常体を交えた口調です。
これは台詞内でというより、独白や頭の中でのイメージです。
説明が難しいので恥ずかしながら自作の二次創作小説から出しますね。
でっち上げた武勇伝も、いい加減な過去も、楽しんでくれるなら何よりだ。せいぜい意味などない道化の言葉に、呆れるなり疑うなり笑うなりーー好きにしてくれ。観客がどんな反応を示したとて、この物語の幕引きは拍手喝采では終わらない。舞台装置も役者も、悲劇へ向かって台本通り動くだけだ。拷問を生き延び、妹を攫われ、幕を引くのは信じた仲間の裏切り。あーあ、いただけませんな?よく見る安いシナリオは。私が自由に脚本を書けるなら、こんな退屈な芝居にはならなかったでしょう。
“Ah, yes, the city. With all its people and their accumulated wealth, yes?”
「ああ、これぞ街。そこに暮らす人々と、彼らがせっせと貯め込んだ富の山…ねえ、どうです?」
彼のダーティさ+心に抱えた闇や虚無を強く表現したいときに用いたいなと思うスタイルです。
案1と組み合わせることも出来ますし、案1の口調を普通の敬語にしても成立します。
「これは、これは! お褒めの言葉と受け取ってよろしいですかな? ジャヘイラ殿」
ハーパーの目を以てしても見破れない企て。それこそが私を捕らえる檻だった。罪悪感が背中を伝って流れていく。気付かれてはいけないのに、同時に見破って欲しいとも思っていた。誰かがこの罪を咎め、裁いてくれれば私は自由になれるだろうか。
答えは否。私に自由はない。生きるためには主人の命に従うしかない。
彼のダーティさ+心に抱えた苦しみや虚無+ニヒルさを強く表現したいときに用いたいなと感じたスタイルです。
案1と組み合わせることも出来ますし、案1の口調を普通の敬語にしても成立します。
この口調だと言葉遊びを非常に扱いやすくて、原語版の彼のニュアンスをかなり盛り込めます。
最後に
口調はかなり人によって好みがあると思います。
最初にも述べた通り、本当に「これが正解です!」とか高らかに言うつもりはまっっっっっっっったくありません!\ヨカッタ!/
私のPTのヨシモは
話し言葉→案1、独白・頭の中→案2
という形で使い分けさせようというところに落ち着きました。
この口調でヨシモロマンスMODの日本語翻訳記事にもいずれチャレンジしてみようかな。
この記事を読んだ方が、もし「アリかも~」と思ったらご自由に採用頂いても大丈夫です。
BG2の創作がもっともっと増えると良いですな。…ねえ? 我が友。
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