篝火5に合わせて、無事に新刊(Web再録ですが)出来ました!
人生初の同人誌。初めて作った本なので結構長い道のりでした。
ここから先は、大抵の方にとってはあまり興味がないであろう制作裏話です。もしかしたら、本を作ってみたい人の参考にはなるかもしれません?
本のサイドコンテンツとしてお楽しみ頂けたら嬉しいです。
企画・計画
本を作ってみたいと思い立ったのが昨年の篝火4参加後(2024年秋冬頃)。結構作品数が溜まってきたので本いけるのでは?と思い、なんとなく調べているうち作る方向で気持ちが固まりました!
2025年1月頃には「今年中に本を出す」と決め、本格的に計画や構想を着手し始めたのは5月頃だったかと思います。
5月の時点ではこの辺りのことをざっくり着手しました。
- イベントに合わせた目安入稿スケジュール決定
- 必要作業の洗い出し
- 収録予定作品数の見込み出し
- 上記と原稿を管理するExcelファイルの作成
元々作品数はある程度溜まっていた(短編20本近く)ため、新規で必要な作業はざっくりこんな感じでした。
- 予算、頒布予定金額の決定
→これを先に決めておくと印刷所決定が楽になります - 絶対入れたい仕様の決定
→箔押しなどの加工や紙など
私は知識がないくせにこだわりが強かったため、発注直前まで紙選びに時間がかかりました - 印刷所の調査、決定
→予算、評判、印刷の発色、サービス&オプションの豊富さなど選ぶ観点が多くてこれも時間がかかりました。注意したいのが「R18」対応かどうか。金額やサービスが良くても、R18表現が含まれると対応不可な印刷所もあるので注意。最終的には頒布金額を安価で済ませられる印刷所に決定しました - 表紙/背表紙のデザイン制作
→後述しますがめちゃくちゃ時間かかりました。文庫(A6)サイズは小さいためデザインの制約も多く大苦戦。早めに着手して正解でした - 発送方法の決定
→なるべく送料が安くなる方法を探し、文庫本(3cm以下)であれば『クリックポスト』か『ゆうメール』が最安でした - 加筆修正&校正
進捗管理について
進捗管理や文字数管理は全てExcelで一元管理しました。
全体管理のシートと短編掌編それぞれの管理シート、その他のページへの掲載情報、作業記録シートなどがあります。
見せても不都合がない範囲で、参考までに画像を載せておきます。

こちらが全体進捗管理のシートです。一冊作るまでに何文字必要か?をあらかじめ調べておいたので、目標数値の達成具合などを管理していました。
文字数などは後述の作品管理のシートの文字数を計算して取得するようになっています。
鍵垢で進捗報告のポストもしていたので、ポストの定型文に合わせてそれらの数値を引っ張ってこられるセルもあります。
こちらが毎日の進捗管理シートです。絵や文と違って本としての完成は時間がかかります。また、校正などは作品が出来上がるわけではないため、目に見える成果として出づらい面も。
ただでさえ原稿で落ち込みがちなので、「今日も本は出来ていない…」「何も進んでいない…」と思わないよう、「少しずつでも進んでいる」と自分を鼓舞するために作った節があります。

そして、こちらが毎日の進捗管理シートです。絵や文と違って本としての完成は時間がかかります。また、校正などは作品が出来上がるわけではないため、目に見える成果として出づらい面も。
ただでさえ原稿で落ち込みがちなので、「今日も本は出来ていない…」「何も進んでいない…」と思わないよう、「少しずつでも進んでいる」と自分を鼓舞するために作りました。

こちらが作品(短編)管理のシートです。掌編も同じ仕様です。元々全ての短編はPrivatterに更新していたため、本として修正するほかに掲載先の更新も行わなければならなかったんです。なので、これをマスターにしておけば差分がごちゃごちゃにならないかな?と思って作りました。
Excel管理は完全に私の面倒くさがりで導入しただけなので、再録本を作るとしても必ず必要ではないと思います!
もしこの方式がお役に立ちそうでしたら、ぜひ真似しちゃってください。
着手開始初期~
6月頃から計画や印刷所調査などはゆるく着手、デザインは8月頃だったかな…?
この時期は高揚感もあって「どんな本にしよう…」と夢膨らむ時期でした。遊び紙、箔押し、ホログラムPP、カバーなど色んなオプションに目が眩みました。
予算の関係で今回は見送りましたが、箔押しはいつかやってみたい…!
後から思ったのは、この時期から計画を立てていたのは大正解でした!というのも、どうしてもプライベートで忙しくなったり、創作自体のモチベが落ちる時期があるので、早めに着手していたお陰で進捗をカバー出来たんです。次本を出すときも「半年前」には計画着手し始めたいなと思いました。
中期~(原稿本格着手時期)
原稿本文
原稿を本格的に着手できたのは9月半ば~10月頃からでした。
これはギリギリだったなと思います。当初の計画では8月に着手するはずだったのに、色々あってサボっちゃいました。
後から「もう1か月あってもいいかも…」と思ったので、計画通りに進めていればもう少し校正に時間回せた&書き下ろしを増やせたかなと思います。
もし本当に本文手直しなし、構成だけの原稿であれば2か月あれば余裕かなと(個人差があると思います)。
私の場合は、時間が経つと粗が目立って気になってしまって…😢ほぼ全作品、加筆と修正をしています。倍の長さになったものや、話の筋から変わったものも多々。とある短編は2度、初めから書き直しました。(←これ字書きさんなら共感頂けますよね…?「こんなのは違う!」って書いた原稿を破る気難しい作家大先生みたいな気持ちになっちゃう時ありますよね)
気に入る文にするのって地味に大変。
しかも書いて読み返すを繰り返すうちに「自分の文章の癖」とかメタ的な視点で気になることが出てきたり…!
よく使いがちな語彙とか、複数作品で見られる展開とか(例:「顔を見合わせて笑った」とか)が気になり、止まらないセルフツッコミと格闘しながら原稿と向き合いました。
おかしなことを言いますが、なんか頭の中に上司のようなもう一人の自分が生まれて、文章を書く横で邪魔してくるんですよね。例を挙げると、「俺にその資格はない」って文章を打ちながらもう一人の自分が「その資格はない、おおその資格はない」(エルデンの定型メッセ)って言ってきたり。あとは「鼓動が早鐘を打つ」みたいな展開が多くて、見かける度に頭の中で「鼓動早鐘ノルマ達成」とか思ってしまったり。「顔を見合わせて笑った」は「オードリー(芸人さんコンビ)かな?」と思ったり…。え、これって私だけなんですかね?やかましい自分との戦いでした。
この時期はめちゃくちゃメンブレしました。
己の駄文と向き合うの本当にしんどかったです。「え、なにこの駄文。文字書きなんかやめちまえ!」と「この一行本当に好き…」を繰り返しながら、何度か真剣に本出すの辞めようかと思いかけたりもしつつ、なんとか乗り越えました。ハイになる瞬間と虚無が訪れる瞬間が交互にくるんですよね。同人誌制作って長期化しやすいからモチベ管理大変なんだな…と身をもって知りました。世の同人誌に一層感謝したいです。
そんな感じでみるみるモチベが失われていく中、楽しく取り組めたこともありました。それが「紙選び」で、自分が思っていたよりも楽しくて夢中になりました…。検討中の印刷会社さん複数社から紙見本を取り寄せ、他の作家さんの事例を調べたりし、発色相性や手触りなど紙だからこそ表現し得る仕様を考える。この時間は本当に癒しでした。後述のデザインの項目でも触れていますが、素人ながら紙についてはかなり時間を掛け検討を重ねました。
あ!この時期、制作の中でも一番大きな出来事があって、Word原稿からInDesignに引っ越しをしました!
初めは原稿をWordでやってたんですけど、見開きとしてのノドの設定や塗り足し、トンボの設定ができなくてイライラしちゃって。
元々Adobe製品慣れしているので、イラレと迷いつつInDesignを採用しました。Adobe製品慣れしている方にはぜひInDesignを推したいです。
これも結果的にやって本当に良かった…!ノンブル(ページ数)入れや章タイトル名、目次とページ数の連携など、大幅に効率化できました。(InDesignは変数を用いることが出来るので、変更に強いと思います)計画性がなく、原稿中の仕様変更が多かったため、移植してなかったら地獄だったと思う。
でも調べて分かる仕様や知識より、やっぱり己の駄文と向き合うのが一番しんどかったです。「え、なにこの駄文。文字書きなんかやめちまえ!」と「この一行本当に好き…」のハイと虚無が交互に訪れ、本作るのってこんなに大変なんだと実感した時期でした。同人誌制作って長期化しやすいから本当にモチベ管理が大変ですね。世の同人誌に一層感謝したいです。
初めは原稿をWordでやってたんですけど、見開きとしてのノドの設定や塗り足し、トンボの設定ができなくてイライラしちゃって。
元々Adobe製品慣れしているので、イラレと迷いつつInDesignを採用しました。Adobe製品慣れしている方にはぜひInDesignを推したいです。
この時期はめちゃくちゃメンブレしました。
己の駄文と向き合うの本当にしんどかったです。「え、なにこの駄文。文字書きなんかやめちまえ!」と「この一行本当に好き…」を繰り返しながら、何度か真剣に本出すの辞めようかと思いかけたりもしつつ、なんとか乗り越えました。ハイになる瞬間と虚無が訪れる瞬間が交互にくるんですよね。同人誌制作って長期化しやすいからモチベ管理大変なんだな…と身をもって知りました。世の同人誌に一層感謝したいです。
デザイン・装丁
デザインは結構こだわりました。
最初に1案作って、それをブラッシュアップして…を繰り返すうち4案ほど(世に出す前にお蔵入りしたものを入れるともっとあります)出来、それをこねくり回して表現したいものに合わせていきました。
第一印象は「洋書っぽいおしゃれさ」「ファンタジー・儀式っぽさ」「タイトルに合致したデザイン」にしたいと思っていて、あとは「白」と「赤」で遊ぼうというのも先に決めていました。
あとはタイトルや作品内容から連想していって「炎」「ハート」などのモチーフが最初に決まりました。
せっかくなので1案目から順に並べてみます。
1案目

タイトルと内容、方向性がざっくり決まった段階でとりあえず作った案です。こうしてみるとかなり粗いですね。あと視認性や印刷可能な最小値を意識していない感じがする。
2案目

ここからちょっと洋書を意識したんだなという感じがします。裏表紙も作り始めました。でもまだ全体的に涼し気というか、冷たくて「バーニング」感が全然ないです。呪術師の「手」のモチーフを思いつけたのは良かったなと思います。
3案目

この辺りで一気に情報量を増やしました。「赤い糸」で名前を繋げている演出は今でもちょっと入れたかったなと思いますが、線の太さが文庫では不安だったので泣く泣く削除。また、登場人物をイメージしたモチーフも裏表紙に入れていました。これも本当は入れたかった…(テスト印刷時に文庫サイズだと潰れると分かり思い切って削除)
4案目

炎のシルエットの色の切り替えを入れたことで、ぐっと良くなりました!また、ここで「バーニング感」を足しました。3案目の時点で「この二人の愛の炎はこんなもんじゃないだろ!?」「呪術師の愛がそんな弱火でどうする!」と頭の中の上司が追い込んできたので、炎を強火にする方向性に。
そして、この段階で「表紙のみ」のテスト印刷を発注しました。これも結果的に大正解でした!「数値や画面上で見ている細い線がどれだけ発色するか?」は現物を見てみないことにはさっぱりだったので…。選んだ紙の発色具合や、印刷会社さんの特性も知れるので、気合入れた表紙を頼むときは今後も表紙テスト印刷しようかなと思いました。
入稿時点の最終デザイン

テスト印刷で「潰れてしまう」「見えづらい」「蛇足に見える」ところを削ったり修正し、最終的にこちらになりました。
オンデマンド印刷の発色が思っていたよりも悪くないと気付いたため、より炎っぽく黄みを加えて最高火力に。実際の現物の発色はディスプレイ上より抑えられていて、黄みも薄いですが、テストバージョンより確実に強火になりました!
初めての同人誌にしては悪くないデザイン…だと思う!
画面を通してみると、情報量が減った分少しシンプルに見えますよね。でも実際は「新・星物語」という銀箔に見えるフレーク混じりの紙を使用しているので、白い箇所がちょっとだけキラキラして見えます。光の下で傾けたりするとよく分かると思います。
この紙を選んだ理由は「白」が綺麗に見えるのと、手触りの良さと、銀箔が「灰」みたいで綺麗だからです。作品が作品だけに、ぴったりだと思ったんです。
あとこれは本当に細かすぎるこだわりなのですが、このデザインに文庫の本文用紙としてよく用いられる紙(クリーム色のやつ。淡クリームキンマリとか書籍用紙とか)を合わせると、「黄ばんで見える」なと思ったんです。退色した紙みたいに見えてしまうというか。それが嫌だったので、今回は表紙と本文用紙の色の差が出ないように、本文用紙に「モンテルキア」という白色度が高く退色しづらい紙を使用しました。そのせいでちょっと文字とのコントラストが高く目が疲れてしまうかもしれませんが…デザイン的には満足!
また、実は表2,3(表紙の裏側、本を開いたときに見える面)にも少しデザインがあります。ここは特に「新・星物語」の良さが出ていると思うので…お手にとってのお楽しみに🔥
後期(校正から校了まで)
校正
校正は校正で大変でした!私の場合は書き下ろし原稿と完成済み原稿の校正を同時進行していたため、途中でクオリティチェックの方法に変更があり、結果的に二度校正を行いました…(計画性のなさ)
無事に出来上がった原稿を読み直すのも結構辛いんですよね。だって自分が書いた原稿なんですもん…。「この原稿が他の方が書いた創作だったら…」と何度思ったことか。ストーリーもオチも知っている自分の書いた話は、流し読みでも読み返すの辛かったです。(よそ様のお話は何度読み返しても最高なのに!)
校正には2種類のツールを使いました。それでも誤字が紛れていたことが発覚したので、もう何も信用できない…この先嘘つきがあるぞ。校正を2回通した後、最後にもう一度通しで読み直す時間もなかったので、この辺りは自分のスケジュール管理の問題でもありますね。
入稿データ作成
入稿仕様に合わせるため、PDFを合体させるのが地味に手間でした。今回の本の場合、「設定集」を何も考えずに塗り足しのあるデザインにしてしまったんです。で、InDesignくんは見開きで作ったページを単ページにすると、塗り足しエリアが左右ページでくっつくんです。んなアホな!!!!!
他にも塗り足しありのページがいくつかあり、PDFにしたあとイラレで並び替える作業が発生。眠くて白目剥きながら作業しました。
あと入稿間近になってもう一つトラブル(これは100%私が悪い)がありまして。
文字サイズを、入稿2週間前くらいになって変えたんですよね。馬鹿め!!!!!(本当に愚行)
初めは8ptくらいで作ってたんです。ページ数が多いためノドを多めに確保しなければいけなくて…。で、ページの余白を増やそうとすると、1ページに掲載できる文字数が減ってしまう。この問題を、文字数を8ptにすることで解決しようとしていたんです。(某所で「文字スカスカの本は損した気になる」というトピックを見たために、8ptで無理やり字を詰め込もうと思ってしまっていました)
でも後から8ptの文字の読みづらさ(老眼なのでしょうか…マジで読むの辛かった)に気付いてしまい、SNSでも色んな文字書きさんの感想を調べて「9ptあった方が良い」と思い直し、急遽9ptに変えたんです。(世に流通している商業本が9ptなんだからそりゃそう)
となると、組版の設定が変わる。すごくざっくり言うと「一行に何文字入って、一ページ何行入るか」ですね。
InDesignくんは親要素を変更すると子にも適用されるという便利仕様なので、一行の文字数を変えるくらいだったら親ページ編集で融通きくんです。でも、文字サイズは流石にダメみたいでした。調べても調べても重い通りにいかないので、結局テンプレート作り直して、一から流し込みをしました…。
これが一番無駄な時間でした!この時間を校正に回したかった。今回の反省を活かして次は初めから9ptで作りたいと思います。
出来た本がこちら
不ラの本が…ラレンティウスが主役の本が…出来た!!!
どうかこの世にあってくれと思いながら探し回ったけどついに見つからなかった本!イザリスを探すラレンティウスの気持ちになりながら、ずっとずっと探していた本…!ラレ愛を詰め込んだ狂気の代物です。シースもドン引きの妄執。
厚みは丁度2cm!自立します。そこそこずっしりしています。でも辞書ほどは重くないです。
今回はカバーがないので、紙の手触りを楽しんで頂けたら嬉しいです。表紙も本文も手触りがいいので気持ちいいです。
初めて本を作った感想
本作り、思っているよりずっと難しくて大変でした!精神的にもかなりしんどい!でも、大好きなキャラで一冊作りきった達成感は大きいです。オールキャラ本の隅っこではなく、一冊丸々推しが出てくる本!夢にまで見たラレ本!作って良かった…。
ただ創作するだけではなく、考えることが多岐にわたるので、これまでの知識を総動員した一大プロジェクトって感じがしました。色々なコストはかかるけど、楽しいですね。本を手に取ったら全て報われた気持ちになりました。
そして、これまで何気なく手に取っていた本全てに感謝が尽きない。本出してくれる創作者さん、いつも本当にありがとう。
次回の本への反省点
- デザインや紙選びにかける時間をもう少し減らす(でもここがめちゃくちゃ楽しくてやめられない)
- 校正に時間をかける。目指せ誤字脱字0!
- 組版や文字周りの仕様、フォントなどは先に決める。決めたら変えないくらいの気持ちで
- 印刷会社の納期感が変わる可能性も見込んで、とにかく早めの締め切り設定
- Web公開段階で、本にする想定の決まり事で書く。
→「三点リーダー」は2つずつ、「!や?」の後は空白一文字、会話前後に空白行を入れない、など。 - (これは完全に自分用メモ)モンテルキアの時は本文文字色K90で良い。300P超えるならノドは22mm、小口は15mmくらい欲しい。柔らかい方が持ちやすいので、長編など連続で読む想定の本なら55kgくらいの薄さが良さそう。
ここまで乱文を読んで下さりありがとうございました。
本もお楽しみ頂けたら嬉しいです。